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大地震で入居者に被害!そのとき、オーナーさんの責任は? その1
2011年08月31日こんにちは。
大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」
編集長の上田です。
水曜日は「読者の声とお悩み」です。
今週は、
「大地震で賃貸住宅が被災し、入居者が被害を被った場合の、
オーナーの責任について教えてほしい。
物件が損壊し、入居者の方が亡くなったり、
怪我をされたりしたら、
オーナーは責任を問われるのでしょうか?」
とのご質問です。
このことに関しては、たびたび引用される判例があります。
「神戸地裁平成11年9月20日判決」
です。
阪神・淡路大震災によって賃貸マンションが被災、
1階部分が押しつぶされ、
複数の入居者が亡くなった事件について、
地震だけでなく、
「建物の瑕疵」もこの事件に「寄与」したと裁判所が判断、
瑕疵があったとされる建物の所有者、
すなわちオーナーにも、
多額の損害賠償義務が課されました。
ちなみにその額は、1億2千万円を超えています。
少し背景をお話ししましょう。
建物は、昭和39年に建てられたものでした。
それをオーナーさんが昭和55年に取得。
賃貸住宅として、
入居者に貸していました。
ところが、
この建物には、実は安全上の問題がありました。
壁厚や壁量が不十分、
鉄筋の量が不十分、
壁と柱が十分に「緊結」されていない・・・
といった、
いわゆる欠陥を含んでいたものだったのです。
これについて、裁判所は、
「建物が通常有すべき安全性を備えていれば、
倒壊するにしても、その状況は大いに異っていたはず」
「よって、入居者の死亡は不可抗力によるものとはいえない」
と、判断しました。
その上で、オーナーに責任を求めました。
その割合は5割。すなわち半分です。
裁判所は、
この事件による入居者の損害について、
「建物の問題と地震とが競合して原因を成したもの」
「欠陥を含んだ建物による損害への寄与度は5割」
であるとし、
建物の所有者であるオーナーに、損害全体の半分に当たる額の
賠償義務を課したわけです。
この判決には重要なポイントがあります。
それは、
物件に、欠陥すなわち「瑕疵」があったことです。
この判決でオーナーに課せられたのは、
主として、
「瑕疵」のある建物が、他人に損害を及ぼしたことによって発生する、
土地工作物責任(民法717条)」
と、いうものでした。
逆に言えば、
この建物が、何ら瑕疵のないものであったならば、
入居者の受けた損害は、
「そのすべてが地震によるもの」
となり、
オーナーは責任を問われなかっただろう・・・と、
いうことにもなるのです。
そこで問題は、
「一体何が、物件に『瑕疵』があるか無いかを別ける基準に
なるのか?」
と、いうことになりますが、
多くの専門家は、
「耐震基準を満たしているかどうか」
が、その基準となる旨、見解しています。
すなわち、
この事件のような事例の場合、
建物に瑕疵があるといえるかどうかは、
基本的には、
「建築当時の耐震基準を満たしていたか否か」
により判断されます。
耐震基準は、
ご存知のとおり、昭和56年の建築基準法改正によって、
旧来のものから、
新しいものへと移行していますが、
賃貸されている建物が、
正しく建築時の基準を満たしている建物であり、
なおかつ、その後、
安全性に問題のあることが確認されていなかった場合は、
「地震で倒壊、入居者に死傷が生じた・・・」
と、いった場合も、
オーナーさんがその責任を問われるといったことには
なりにくいでしょう。
先ほどの、阪神・淡路大震災で1階が押しつぶされた
昭和39年築の賃貸マンションの場合は、
昭和39年当時の耐震基準も満たしていなかったために、
責任が問われたともいえるわけです。
ただし、
気をつけたいことがあります。
それは、こんなケースです。
「その建物が、古い耐震基準を満たしてはいるものの、
現在、あらためて、新たな基準も満たすよう、
法令などによって、耐震診断、改修などが求められている
ものである場合・・・」
たとえば例として、
3階建て以上で床面積の合計が1000㎡を超える建物の多くが、
この対象に入ります。
こうした場合、
定められたところの措置を怠っていると、
建物に「瑕疵」があるものと認められてしまいかねません。
また、ほかにもこの例のように、
法令などで、
「新たな基準を満たすよう、措置を求められている」
建物がありますので、
オーナーさんは、決してたかをくくらず、
ご所有の物件がそうした条件に該当していないかを
積極的に確かめておくべきでしょう。
もちろん、
それ以前に、
法的な義務のあるなしにかかわらず、
物件の耐震診断をしっかりと受けておくことは、
入居者の命をあずかるオーナーさんのつとめであるということも
できます。
耐震診断、そして必要となれば改修。
ぜひ、積極的に、
すすめていきたいものです。
なお、来週は、
今週の続きとして、
賃貸住宅が被災した場合の賃料請求のあり方や、
入居者が被った物損にかかわる責任問題などについて、
お話しをいたします。
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