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原状回復トラブル回避の特効薬?首都圏での「敷引き」の活用を考える.2
2011年11月29日こんにちは。
大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」
編集長の上田です。
火曜日は「編集部こぼれ話」です。
今日は先週の続き、「敷引き」についてのお話の後半です。
・賃貸借契約の成立時、
・賃借人が賃貸人に差し入れた保証金のうちの一定の金額
=「敷引き額」を
・契約終了時には賃借人に「返還しない」旨
・あらかじめ特約として定めておく
京都を除く関西や、九州では一般的なこの制度。
原状回復費用のほとんどがオーナー負担と
なりつつある今、
原状回復・敷金返還トラブルの予防のためにも、
首都圏でも行われてよいのではないか?
と、いうところまでを
前回はお話しさせていただきました。
さて、ではこの「敷引き」制度、
もしも、
首都圏のオーナーである私達がこれを導入しようとする場合、
どんな注意や努力が必要となりそうでしょうか。
まず、
とりわけ注意すべきことのひとつに、
「高額な敷引き額」の設定があります。
なぜ、とりわけ注意・・・かといえば、
実は、
敷引きについては、最近、その合法性について、
法廷の場で争われているのです。
争点は、
「消費者契約法に違反するか否か」
と、いうところにあったのですが、
平成23年3月24日、
最高裁の判決により、一応のところ、制度の「合法性」は
認められました。
ただし、
・敷引き額が高すぎる場合は
・賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比べて
大幅に低額であるなど特段の事情のない限り、
・消費者契約法10条により無効となると解するのが相当
の旨、述べられてもいます。
そのため、
「契約さえ交わせばどんな額であっても『敷引き』として、
オーナーが貰ってしまえるのだ」
などと考え、
過大な金額設定をすると・・・
一転、違法行為を問われてしまう可能性も少なくありません。
ちなみに、
この裁判で争われた当の契約条件というのは、
若干特殊で、
敷引き額は、契約後の経過年数(入居期間)に応じて、
「賃料の2倍弱~3.5倍強」と、移り変わって
増えていきます。
具体的には、
賃料月額9万6000円に対し、
賃借人が当初に差し入れる保証金は40万円。
敷引き額は、
経過年数
1年未満 18万円
2年未満 21万円
3年未満 24万円
4年未満 27万円
5年未満 30万円
5年以上 34万円
と、設定されていたとのこと。
ですので、これまでお話の前提としてきている
「敷引き額固定」
での契約に対しては、明確な判例とはなりにくいのですが、
どのくらいの敷引き額を設定すると、
高額で違法なものと判断されるおそれが出てくるのか・・・?
この疑問に対し、
ひとつの参考にはなるものと思われます。
そこで、
上記をあらためて見てみると、
2年未満・・・21万円 と、あります。
あくまでひとつの参考にすぎないことを
繰り返しますが、
最高裁が「違法ではない」としたこの契約内容からは、
「2年の契約期間で、敷引き額=賃料2ヶ月分程度」
という目安が、
とりあえずですが、浮かび上がってきているようです。
なお、
もうひとつ興味深い点を付け加えれば、
この判決では、以下のような見解が示されています。
・通常損耗等の補修費用は賃料にこれが含まれているのが通常
・しかし、これに充てるべき金員を「敷引金」として授受する旨の
合意が成立している場合には、
上記補修費用が含まれないものとして賃料の額が
合意されているとみるのが相当
すなわち、
適正な額の「敷引き」を行い、
それを物件の損耗への補修にあてるとの合意が、
賃借人・賃貸人の間に明確であれば、
基本として賃借人が負うべきとされない、
通常損耗への補修費用が、
「賃借人の負担となることも容認される」
と、いうことになるわけです。
契約自由の原則の適用です。
判決文によれば、
・通常損耗等の補修の要否やその費用の額をめぐる紛争を
防止するといった観点から、(こうした「敷引き」の仕組みは)
あながち不合理なものとはいえない
とのことで、
制度の合理性に最高裁が着目したうえでの、
これは、
ひとつの「後押し」ともいえる見解かもしれません。
さて、次に、
私達首都圏のオーナーが、敷引き制度を導入しようとした場合、
もっとも大きく立ちはだかりそうなハードル・・・
それは、
とても単純です。
「仲介する不動産会社が協力してくれるかどうか?」
と、いう問題でしょう。
入居者の募集、広告、契約、退去の際など、
さまざまなシーンにおいて、
不動産会社による敷引き制度への明確な理解が
必ず必要です。
また、前回お話ししたとおり、
いわば入居者にとっては問答無用(?)な行為ともなる
敷引きを行う地域では、
代わりに礼金がなく、更新料もほぼ無いとのことですが・・・
「では、更新料から私どもがいただく事務手数料は
これからどうなるのですか?」
そんな不動産会社からの疑問に対しても、
オーナーさんは、
先方が満足する明確な答えを
用意しておかなければならないでしょう。
以上、いかがでしたでしょうか。
原状回復トラブル軽減への期待、
さらにはそれにともなって、若干のリスクを覚悟の上ではありますが、
「退去時の立ち合いの省略も検討可能」
など、
私達にとって魅力的な可能性がいくつか見える「敷引き」の制度。
今後、
さらに調査、研究をすすめてみたいと思っています。
(文中の判例について詳しくは、「裁判所」サイトの裁判例情報から、
最高裁判例、平成23年3月24日を検索し、
「平成21(受)1679 敷金返還等請求事件 平成23年03月24日」
の内容をご確認ください)
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