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DIY型賃貸借、活用の道が見えてきた・・・!秋のフェスタ、セミナー報告
2015年11月17日こんにちは。
大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」
編集長の上田です。
火曜日は「編集部こぼれ話」です。
今回も、前回にひきつづき、(前回の記事→こちら)
10月17日、新宿NSビルにて開催
「秋の賃貸経営+相続対策フェスタ」・・・
その中心イベントのひとつとしてご用意させていただいた、
セミナーの話題です。
今回、三つのメインセミナーと
特別講演が開かれた大会場、
午後のプログラムの一番手としてご登場されたのは、
国土交通省住宅総合整備課
賃貸住宅対策室長の二俣芳美さんでした。
お話ししてくださったテーマは
「DIY型賃貸借」。
ちなみに、賃貸住宅対策室は、
今年4月に新設されたセクションとのこと。
いまや、日本のかかえる
大きな課題のひとつとなっている空き家問題、
さらには、
人口減少社会においての住宅ストックの効果的な活用、
それらに、
国交省も本腰を入れて取り組んでいることを示す、
パワフルな体制づくりのひとつといえそうです。
DIY型賃貸借については、
オーナーズ・スタイル本誌読者の皆さんや、
いつもこのブログをご覧になってくださっている
皆さんならば、
多くが、もう十分にご存知のことと思います。
それでも、あえてここに定義を掲げておくと・・・
DIY型賃貸借とは、
・借主が
・その意向や好みを反映した住宅の改修やリフォームを
・借主、貸主双方の約定に従って
実現させることができる
そんなかたちで、
賃貸住宅の貸し借りをすること。
どこまで建物に手を加えることができるか、
費用は誰がどう負担するか、
それらについては、
借主、貸主双方が納得し、約束した上でこれを実行。
上手くいけば、
借主(入居者)は、
他人の所有物である賃貸物件で暮らすのにもかかわらず、
自分の好みに適った住環境を手にすることができ、
貸主(オーナー)は、
もしかすると出費なしに、物件の魅力がアップ・・・!
そんな、WinWinの結果が生まれるとともに、
「経年により魅力を失った住宅ストックが、
理想的なかたちで世の中によみがえる!」
と、いったことにも期待が寄せられている、
いま注目の政策であり、
なおかつ、社会的なアクションです。
ちなみに、上記、
「借主の意向や好みを反映した住宅の改修やリフォーム」
ですが、
実際のところは
DIY=do-it-yourself(素人仕事、日曜大工)
によるものばかりでなく、
プロの施工事業者の手を借りる場合の方が、
この「DIY型賃貸借」にあっては
より多分に、
想定されてはいるようです。
それでも、とりあえず「DIY」。
言葉はすでに浸透していますので、
我々も素直に(笑)、これに従っておきましょう。
ところで、
このDIY型賃貸借の考え方が、
私達をとりまく業界や世間に大きく広まってきたのは、
つい、ここ最近のことです。
もちろん、
勇気ある先行者の皆さんもたくさんいらっしゃいますが、
基本的にはDIY型賃貸借は、
前向きなオーナーさんと、
意気込みにあふれた入居者さんがいて、
双方が信頼にもとづいた協力の姿勢を
しっかりと維持してこそ、
成功が可能なもの。
ゆえに、
大切な資産である物件に、
「他人の好みで手を入れられる」ことについては、
なかなかこれに踏み切ることができず、
二の足を踏まざるを得ないでいるオーナーさんが、
実際、少なくないことも事実です。
そのため、
DIY型賃貸借がより広まり、機能するにおいては、
借主・貸主の間に立って調整を行なう
コーディネーターの存在が、
多くの場合、必要になってくるのではないか・・・
大勢の人がそう考えてもいます。
借主、貸主双方の信頼づくりを
責任をもって手伝ってあげられることのできる、
公平な立場に立つ存在が、
求められているということです。
そこに加えて、お金の問題もあります。
DIY型賃貸借では、
「よそ様」の持ち物に手を加えることによって、
好みの環境を享受できる借主こそが
費用を負担するという考え方が、
まずは基本となっていますが、
工事の規模等にはよるものの、
それを一時に捻出できる人が、
借主としてどのくらいいるのか・・・
その点にも、やはり疑問は残ります。
そこで、
今回の国土交通省・二俣芳美さんのご講演ですが、
こうした疑問に対しての有望な回答が、
ひとつ、明確に、
我々の前に示されたものとなっています。
それは、
「転貸人」としてのコーディネーターの存在です。
なお、もしも、
当日のセミナーで配られたレジュメを
お手元にお持ちの方がいらっしゃいましたら、
28、29の番号がふられたページを
お開きになってみてください。
上下の枠のうち、下の方(29)に、
解説付きのイメージ図となってそれが描かれています。
さて、以下、
レジュメをお持ちでない皆さんにもわかりやすいように
説明しますと・・・
この提案では、
「施工事業者に工事を依頼する程度の規模」での
物件改修をしたい借主と、
物件貸主であるオーナーさんとの間に、
「転貸人」が介在しています。
この転貸人こそが、コーディネーターです。
借主と貸主の間を取り持つ存在です。
ここでは、コーディネーターは、
オーナーさんから見れば、物件を借りる立場の
借主です。
入居者さんから見ると、
物件を貸す立場の貸主となっています。
単なる仲介者、アドバイザーではなく、
歴とした、二つの賃貸借契約の当事者として、
コーディネーターは、
借主、貸主、
それぞれの立場に立っての責任を負うわけです。
と同時に、コーディネーターは、
オーナーさんと入居者との間を
齟齬なく、
信頼の醸成が図れるように調整します。
そして、
ここが大事なところです。
この場合コーディネーターは、当然ながら、
不動産会社等、
通常は入居者よりも資金力に優る事業者が
これを担うことが想定されるわけですが、
その力を活かすかたちで、
物件の改修工事費用は、
一旦、コーディネーターが負担するのです。
その分は、
「一括前払い家賃」として、オーナーさんへ手渡されます。
オーナーさんは、この一括前払い家賃をもって、
改修工事の費用に充てます。
一方、施工事業者は、
施工請負契約については、
オーナーさんとの二者間で、これを交わします。
交わしつつ、現場では、
コーディネーターの調整のもと、
入居者の意向に沿った改修工事を行なうことになるわけです。
そして、コーディネーターは、
この時点では改修工事費用の実質的負担者ですが、
これは、
一旦そうなった、というのが真の姿です。
なので、費用の回収をしていきます。
コーディネーターは、
物件貸主(繰り返しますが転貸人です)として、
入居者からもらう毎月の家賃の中から、
ゆっくりと、
これを回収していくわけです。
(回収していく~とまで上記レジュメには
書かれていませんが、
同レジュメの他の解説部分などから、
ここではそれが企図されていると理解できます)
加えて、そうしつつも・・・
コーディネーターは、
同時に、オーナーさんへ家賃を払っていく
一次借主でもあるわけです。
そのため、
コーディネーターが上記の回収を進めている間は、
オーナーさんは、
低廉な家賃設定によって、これをサポートします。
こうして、
オーナーさん、コーディネーターである転貸人、入居者、
三者の間で動くお金の額を
上手く調整することによって、
「改修工事の費用は最終的に入居者が負担する」
もしくは、
「約束された割合の分までを入居者が負担する」
と、いう結果を実現させることができるわけです。
入居者は、
一般個人としては大抵はつらいこととなる
一時の大きな出費を避けられることになり、
さらに、コーディネーターは、
上記の差額調整によって、
頑張って仲立ちをしたことへの報酬を手に出来る・・・
加えて、
オーナーさんもまた入居者同様、
この事業での一時の大きな負担からは無縁でいられる・・・
そんな枠組みを
国交省は、
「DIY型賃貸借の推進にあたって有効ではないか」
と、提案しています。
いかがでしょうか。
ちなみに、
上記レジュメには、この方法によるメリットとして、
大事ないくつかのことが記されています。
そのひとつ・・・
たとえば「新たにシステムキッチンを入れた」など、
造作が生じた部分の所有権についてです。
上記枠組みであれば、
税務会計上も面倒なく、シンプルに扱えます。
なぜならば、
契約上、施工事業者に造作工事を発注し、
その代金を支払ったのは、
元々のお金の出どころはともかく、オーナーさんですから、
所有権は必然的にオーナーさん。
さらには、同様の理由により、
この枠組みの場合、
何らかのトラブル、アクシデント等があって
賃貸借契約が早期に解約されたとしても、
改修工事費用の「精算」をどうするかについて、
係争にはならない筈だ、
ともされています。
たしかにそのとおりでしょう。
(改修工事代金はオーナーさんが工事終了の時点で
先に払い終えているかたちである上、
真の費用負担者である入居者が支払うのは
あくまで「家賃」であり、
工事費用とは名目上、関係が切り離されているため)
当日、セミナーを聴講され、
「なるほど、これならばよい骨組みになる・・・」
ということで、
DIY型賃貸借の活用の道が見えてきたと感じられた
オーナーさんも、
少なくなかったのではないでしょうか。
さて、
実は、この「DIY型賃貸借」をテーマとしたセミナー、
二部構成となっていました。
国交省の二俣さんに続いて壇上に現れたのは、
学生さん・・・?
と、一瞬見間違えてしまいそうなフレッシュなお顔。
それもそのはず、講師はまだ二十代。
NPO法人「モクチン企画」代表
連(むらじ)勇太朗さんのお話と、そのプロジェクトについて、
次回、ご紹介したいと思います。
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編集部こぼれ話(火曜日の記事)│コメント(0)
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