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土地の有効活用さまざま(3) 賃貸住宅に限らない選択肢
2012年03月05日こんにちは。
大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」
編集長の上田です。
この3月、当ブログでは、
いつもの月~金曜日・日替わりの記事をお休みし、
1ヶ月間にわたって、
「賃貸経営ハウツー(特別記事)」をお届けいたします。
土地の有効活用の手段として、
代表的なのは、
賃貸住宅の経営ですが、
それ以外にも、
土地にはさまざまな活用の方法があります。
主に市街地を中心とした需要が見込めるものとして、
そのうちのいくつかを紹介しましょう。
【トランクルーム】
いわゆる「貸し倉庫」、あるいは「レンタル収納スペース」のこと。
ビルの未活用フロアや、
当面は建物を建てる予定がない土地の活用手段として、
選択されることが多いようです。
通常は、初期投資やメンテナンス費用が
賃貸住宅よりも少なく抑えられ、
さらに、条件に恵まれた場合は、
「周辺の賃貸住宅と比べ面積あたりの賃料にあまり差がない」
ということにもなり、とても効率的。
また、「利用者が頻繁に足を運ぶ施設ではない」ことなどから、
駅から遠い立地にも強いと言われています。
複数年一括借上げを行う事業者と契約することで、
安定的な収入を図ることも可能です。
【コインパーキング】
街でよく見かける自動車用のコインパーキング。
その特徴は、多くの場合、
・初期投資やそれにともなう手間があまりかからない
・工期が短くすぐに開業可能
・安定収入
・いつでもやめられる
気軽に始められる土地活用の代表格といって
いいでしょう。
一般的には、オーナーさんは土地を貸すだけ。
事業者に一括借上げしてもらい、
機器の設置や運営など、あとは一切を任せることになります。
本格的な土地活用の方法を決めるまでのつなぎとして、
あるいは売却の機会を待つ間の運用手段として、
コインパーキングが選ばれる場合も多いようです。
需要の集まる恵まれた立地の場合、
1台分のスペースからでも、十分に採算が見込めるそうです。
【バイクパーキング】
自動車用のコインパーキングや駐車場にするには
面積が足りない土地であっても、
バイク用のパーキングスペースとしてならば、
活用できることがあります。
いわゆる「月極」などのほか、
自動車同様、土地をオーナーさんから一括借上げの上、
コインパーキングを運営してくれる事業者もあります。
ロケーションは良いのに、
狭隘なため収益を生んでいなかった土地が、
バイクパーキングとして生まれ変わり、
リスクや負担も少なく活用される例が少なくありません。
【バイクガレージ】
こちらは駐車場ではなく、「ガレージ」。
バイクを雨風や盗難、イタズラから守るための「車庫」を
提供するサービスです。
バイクを収納する組み立て式の頑丈な「箱」を
空いた土地や、自動車用の駐車スペースなどに置いて、
利用してもらう形態。
狭い土地にも導入がしやすく、自動車1台分のスペースに、
バイクガレージならば2台分を置くこともできます。
こうしたバイクガレージを利用する人の多くは、
高価な高級バイクのオーナー。
経済的に余裕のある人が多いため、
賃料を滞納されるリスクが少ないところもメリットです。
ただし、マーケットはあまり大きくはなく、
一説には「半径2キロ圏内に5台程度」とのこと。
それでも、ガレージ本体は着工から最短3日ほどで
完成しますので、需要を確保してからの導入も
十分に可能でしょう。
【自転車駐輪場】
バイクパーキングなどと同様、狭い土地の活用方法として。
あるいは、せっかく土地が広いのに、
前面道路や間口が狭いため車が入りづらいという場合・・・
「駐輪場」としての活用が選択肢に挙がります。
条件は、土地が駅前付近にあるなど、
ロケーションに恵まれていること。
通勤客や買い物客による路上駐輪が
多く見られるようなエリアであれば、
自動車用の駐車場よりも、
駐輪場の方が、
収益上有利となる場合もあるようです。
放置自転車を減らすことによる、
社会貢献にもつながりそうです。
土地の有効活用さまざま(2) ガレージハウス・シェアハウスを建てる
2012年03月02日こんにちは。
大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」
編集長の上田です。
この3月、当ブログでは、
いつもの月~金曜日・日替わりの記事をお休みし、
1ヶ月間にわたって、
「賃貸経営ハウツー(特別記事)」をお届けいたします。
今日はその第2回目です。
賃貸経営には、
一般的な単身者向け、ファミリー向けの
アパート・マンションを経営するもの以外にも、
色々とユニークなかたちのものがあります。
そんな選択肢の存在を覚えておくことも、
これから賃貸経営を始めようとされる
オーナーさんなどにとっては、
とても有意義なことでしょう。
前回の記事
(ペット共生型賃貸住宅、戸建賃貸住宅)
にひきつづき、
今回は、
「ガレージハウス」と、「シェアハウス」を
紹介しましょう。
【ガレージハウス】
ガレージとは、車庫のこと。
ですが、ガレージハウスの場合、
家にただ車庫がついていればいいというわけでは
ありません。
趣味として自動車にかけるお金を惜しまない、
クルマ好きの人達のために、
自動車を中心としたライフスタイルを実現しやすい形や、
機能を充実させた家・・・。
それがガレージハウスです。
自動車整備のための用品置き場が設けられていたり、
リビングからガラス張りの壁を通して車庫が眺められたり、
充実度は物件によって様々ですが、
こうしたガレージハウスを賃貸住宅として
経営することには、
さまざまなメリットがあるといわれています。
ガレージハウスの入居者は、
主に、高級外車などを所有する男性。
30代以上の独身者が中心です。
ほかにはDINKS(共働き夫婦のみの世帯)の皆さんや、
ガレージハウスをセカンドハウスとして利用しようという、
家庭のご主人も。
経済的に余裕のある顧客が多いため、
滞納リスクが少なく、
加えて、物件自体が希少。
そうしたことから、
賃料を周辺相場よりも高目に設定できることも
少なくありません。
さらにガレージハウスには、
こんな「効能」もあります。
普通の賃貸住宅ならば、
建築をあきらめざるを得ないような、
駅から大変遠いロケーションでも、
運転好きな自動車オーナーにとっては、
さほど苦にならないことも多いのです。
とりわけ、
近くに高速道路のインターチェンジがあったり、
郊外へとのびる幹線道路がはしっていたり・・・。
そんな場合、
彼らにとっては、
逆に「便利な場所」となることもしばしばです。
晩婚化が進み、
趣味にお金をかける大人の男性が増えている昨今、
物件によっては、
空室待ちの予約が何件も入っているほどの
人気を誇るものもあるそうです。
戸建て、マンション等、
ガレージハウスには色々な形態がありますが、
集合住宅の場合、
1階をガレージとして、広さは車を2台置くことができる程度。
2階を住まいとして、間取りはワンルームから1LDK。
と、いったあたりが多く見られるようです。
なお、
ガレージハウスで賃貸経営を始めようとする場合の
注意点として、
「市場調査をしっかりと行うこと」
これを欠かすことはできません。
ガレージハウスはいわゆるニッチな分野の商品ですので、
全体としての顧客の数はさほど大きくありません。
地域によっては、
既存の物件によって、
すでに需給バランスがとれてしまっている場合も
あるからです。
こうした市場調査の実施を含め、入居者募集の方法など、
ガレージハウスによる賃貸経営には、
独自のノウハウが必要です。
ご検討の際は、まずは一度、
実績のある管理会社などにご相談をもちかけられるのが
よろしいでしょう。
【シェアハウス】
近年、賃貸経営のひとつのかたちとして、
急増しているのがこの「シェアハウス」です。
ひとつの家に複数の入居者が暮らします。
内部は、プライベートな個室と、
皆で共用するリビング等の空間に分かれています。
バス、トイレ、キッチン等の設備も
通常は共用。
入居者には、
20代後半から30代くらいの若い社会人が多く、
そのため、これまでは、
「若者に人気のエリアに建つ、未活用の一戸建てを
リノベーションし、シェアハウスとする」
と、いった形態が主流でした。
普通のアパートやマンションに比べ、
生活するにはやや不自由で、不便なかたちですから、
もちろん、
賃料は、通常、安く抑えられています。
しかし、魅力は賃料ばかりではなく、
最近は、
こうしたシェアハウスでの暮らしが、
職場などとは異なる
「ゆるやかなコミュニティ」の場として、
意外に多くの数の若者の心をつかんでいます。
一時のブームで終わることなく、
新たな住まい方として、
シェアハウスは、
いまやほぼ社会に定着したものと考えてよいでしょう。
そうしたことから、
既存の一戸建てや寮などからの転用ばかりでなく、
「新築のシェアハウス」
と、いったものも、
これから増えていくことが予想されています。
そこで、
賃貸経営という側面から見てみると、
シェアハウスは、あるメリットを備えています。
これは、
戸建住宅をシェアハウスにする場合に
言えることなのですが、
一戸をそのまま一人(一家族)の入居者へ貸すよりも、
シェアハウスでは、「小分け」ができる分、
総体として多くの賃料を見込むことができます。
また、
一戸=一入居者では、
退去が発生すると、
その時点から賃料収入がゼロとなりますが、
シェアハウスでは通常その心配がありません。
賃貸経営の安定という面では、
オーナーにとっての大きなメリットといえるでしょう。
逆に、
シェアハウスの経営で大変なのは、
良好なコミュニティの維持にあるといわれています。
若者達の共同生活が思わぬ脱線をまねき、
物件が無法地帯と化すなどしてしまえば、
ご近所にも迷惑がおよび、
地域問題が起こりかねません。
オーナー自ら企画・運営に積極的にかかわり、
コミュニティをリードする覚悟を決めるか、
あるいは、
シェアハウス経営のノウハウに長じた管理会社など、
頼りになるプロとのパートナーシップをもって、
これに臨むか、
どちらにしても、
オーナーさんのしっかりとした心構えこそが、
シェアハウスの経営にあたっては
「何よりも大切」と、
言うことができるでしょう。
土地の有効活用さまざま(1) ペット共生型・戸建賃貸住宅を建てる
2012年03月01日こんにちは。
大家さんのための賃貸経営マガジン「オーナーズ・スタイル」
編集長の上田です。
この3月、当ブログでは、
いつもの月~金曜日・日替わりの記事をお休みし、
1ヶ月間にわたって、
「賃貸経営ハウツー(特別記事)」をお届けいたします。
今日はその第1回目です。
賃貸経営には、
一般的な単身者向け、ファミリー向けの
アパート・マンションを経営するもの以外にも、
色々とユニークなかたちのものがあります。
そんな選択肢の存在を覚えておくことも、
これから賃貸経営を始めようとされる
オーナーさんなどにとっては、
とても有意義なことでしょう。
いくつかの例のうち、
今回は、
「ペット共生型賃貸住宅」と、「戸建賃貸住宅」を
紹介しましょう。
【ペット共生型賃貸住宅】
少し以前まで、
犬は玄関の外や庭先で飼うのが一般的でした。
ですが、
今は多くの猫同様、室内で飼うことがごく普通に。
さらには、
これらをただ室内で飼うだけでなく、
「ペットのための便利な設備や、
管理の仕組みがととのった環境で、
ペットと一緒に幸せに暮らしたい!」
そう希望する人が、
今後、ますます増えていくと予想されています。
「ペット共生型賃貸住宅」は、
いわゆる「ペット相談」物件とは別のものです。
ペットと快適に暮らすための設備や、
管理面での工夫が初めからととのった、
いわば「ペット歓迎」の賃貸住宅が、
こう呼ばれています。
リードフック、ペットの足洗い場から、
トイレスペース、消臭器、ドッグランなど・・・
設備の充実度については、
それぞれの物件で差がありますが、
ペットの飼育に関する規約が明文化されている点は、
どこも共通しています。
ルールがしっかりと定められていることによって、
ペットを飼う人も、
あるいは飼わない人も、
皆、安心して、
快適な生活をおくることが出来るようになります。
こうした「ペット共生型賃貸住宅」ですが、
今あるニーズ、
さらには、予想される今後のニーズに対して、
まだまだその数が少ないとされています。
現状、「ペット相談」物件さえも、
入居者募集中の物件の内、1割ほどを数えるに過ぎず、
設備や規約のととのった、
ペット共生型賃貸住宅となると、
ますます供給が乏しいのが実情。
「ペット相談」物件の数のさらに数%程度・・・と、
いったところでしょう。
そのため、
条件の良いペット共生型賃貸住宅の募集が決まると、
建物の完成を待たずして、たちまち全室、
申し込みが入り、
埋まってしまうケースも少なくありません。
ちなみに、
ある統計によれば、
国内ではいまやペットの数は人間の子どもの数を
上回っており、
「これから飼いたい」としている人の数も、
現在ペットを飼っている人の2倍以上です。
こうしたデータなどをもとに、
「ペット共生型賃貸住宅を含むペット市場は、
今後も安定的に伸びていくだろう」
多くの人々や業界が、そうした予測を立てています。
また、ペット共生型賃貸住宅については、
こんな有利も指摘されています。
それは、
「物件の優位性が比較的長期にわたって保たれやすい」
と、いうもの。
どういうことなのかといえば、
既存の賃貸住宅を
途中から「ペット相談」、ましてや「ペット共生型」に
変更するとなると、
すでにそこで暮らしている入居者の意向も
十分に踏まえなければなりません。
これは容易なことではなく、
そのため、
ペット共生型賃貸住宅にあっては、
「競合物件が急に周りに増える心配が少ない」
一般的にはそう言うことができると
されています。
また、同様の理由から、
賃料を周辺相場よりも高く設定できることも
多いとのこと。
周囲の通常の物件にくらべ、稼働率が高くなっている
ケースも少なくないようです。
さらには、
駅から遠い物件でも、
近くにペットの散歩に適した公園や遊歩道などがあれば、
悪条件を払拭、
入居者が集りやすい、といった声も。
加えて、
入居者同士がペットを通じて仲良くなりやすく、
良好なコミュニティが生まれやすい、
このことも、
ペット共生型賃貸住宅がもつ大きなメリットのひとつと
言ってよいでしょう。
さて、最後に、
ぜひ知っておいていただきたいお話が、ひとつあります。
ある管理会社さんによれば、
新築のペット共生型賃貸住宅の場合、
満室にはなったものの、
実は、入居された方の半数くらいしか、
ペットを飼ったり、飼おうとしたりしていない・・・。
そんなことが、
意外にも多いのだそうです。
「ペットを飼う予定はないが、
たまたま他の条件が希望と合っていた」
と、いうのが、
どうやらその理由。
この場合、
通常の物件であれば満室にできなかったところ、
ペット共生型であることで、
ペットを飼う人、飼いたい人も集まり、
そのため満室を実現できたと考えることが
できるでしょう。
【戸建賃貸住宅】
アパートやマンションといった「集合住宅」ではなく、
いわゆる一軒家、
「戸建住宅」による賃貸経営という選択肢です。
メリットがいくつかあるとされています。
もちろん全てがこうした理想どおりになると
いうわけではありませんが、
オーナーさんや、関係業界の人達から聞かれる声を
紹介してみましょう。
「戸建賃貸住宅」による賃貸経営のメリット・・・
1.長期入居への期待
入居者に子育て世代のファミリーが多いことがその理由。
育児、就学に要する期間を通じて、
比較的長く住んでもらえる傾向にあります。
2.安定経営への期待
上記1に加えて、
安定した法人契約を結べることも多いのが、
戸建賃貸住宅の特徴です。
3.管理の負担が少なく済む可能性
物件が汚れたり、荒れたりしにくい・・・。
共用部分がないこと、入居者自らが建物や敷地を
きれいに保ってくれることが多いのが、その理由です。
4.物件を建てやすい
アパート、マンションの建築には適さないような、
狭小地、変形地でも、戸建ならば可能な場合が
多いようです。
5.物件を処分しやすい
賃貸経営を終える際など、物件を売りやすいということ。
複数所有している場合は、
相続時の分割もしやすくなります。
6.駅から遠くてもニーズがある
駅から遠い不利な立地でも、子育て世代が顧客に多い
戸建賃貸住宅の場合、周囲が子育てに適した
環境にあれば、ニーズは集まります。
7.築年数の経過に強い
現状、戸建賃貸住宅はニーズに対して供給が少なく、
入居者募集中の物件の数%ほど。
古くなっても安定した入居が望めるとされています。
いかがでしょうか。
戸建賃貸住宅を手がけていらっしゃる
ハウスメーカーさんなどによれば、
「騒音など、ご近所に気を使うことなく子育てしたい。
でも一戸建てを買うのはまだ先・・・」
と、いった若いファミリー層を中心に、
戸建賃貸住宅へのニーズはますます根強いとのこと。
また、
専用の「庭」を使えることが多いため、
顧客のエコ志向の高まりとも合致・・・との声も、
最近はよく聞かれます。
ただし、
ひとつ、忘れてはいけないこと。
それは、
戸建賃貸住宅の場合、
一戸だけで経営していて、退去が発生すると、
次の入居者が決まるまでは、
賃料収入がまったくのゼロになるということ。
大事な注意点です。